• ベル・データ
  • 技術探険ストーリー
  • インタビュー

公開日:

データセンターを通じて「安心」と「新しい価値」を
常に提供し続けたい
BELLグループエンジニアたちの技術探険の日々

「BCP(Business Continuity Plan:事業継続計画)対策として、IT機器を堅牢な施設に預けたい」「マシン室の空調やセキュリティ管理を自社でやるのは困難」「社内に機器を対応する人手が不足している」――。 「データ・センター(以下DC)」の利用者たちは、さまざまな理由で自社の重要なIT機器を預ける。 企業や団体の重要なシステムを、安全と信頼を追求した万全の設備で管理するベル・データのDC。安定した電源供給と高いセキュリティを誇る堅牢なDCが、東京・埼玉・名古屋・大阪・九州の5カ所に設置され、エンジニアが24時間365日体制で管理するなど、利用者の安心のために徹底したサポートを行っている。 特に埼玉と大阪の2カ所には、DC内に監視センターを配置。ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークに精通したエンジニアが常駐し、全国5カ所のDCに設置している機器の稼働を監視する。 今回は、共に埼玉DCのエンジニアであり、上司と部下の関係でもある蓮沼克典部長と高塚一意課長に話を聞いた。自他ともに認める、慎重派の蓮沼と行動派の高塚は、一見すると正反対の2人だが、互いをリスペクトするなど信頼関係は強固だ。利用者へ安心と新たな価値の提供のために努力を惜しまずに日々奮闘する、エンジニアたちのリアルに迫った。

全ては利用者の「安心」と「新たな価値」提供のために

――埼玉DCの日頃の取り組みや特長を教えてください。

TEstory_2304_img002s.png

- 蓮沼
「埼玉DCには、現在30名弱のエンジニアが在籍しています。利用者が安心して基幹システムや各種サーバー等のIT機器を預け、運用管理しやすいよう、柔軟で万全な体制を整えることが私たちの務めです。エンジニアたちは日々、中核となるIBMiをはじめ様々なシステムに対応するため、自身のIT技術の向上に励んでいます。

IT業界の技術発展は目覚ましく、常に新しい情報にアンテナを張ることが不可欠です。メーカーから新しいOSの発表や、新機能が実装されたという通知があれば、業務へのインパクトを確認します。必要だと判断したシステムは積極的に取り入れ、検証を行います。チーム全員が高いレベルでの対応ができるよう、入手した情報や習得した技術は属人化させずに、チーム内で共有することがルールです。

現在、利用者に提供している環境をさらに向上するため、新たな価値の提供も意識しています。例えば、弊社サービスの一つに『クラウドサービス』があります。DCに設置された、IBMiを搭載したPower Systems のリソースをネットワーク経由でご利用いただくものです。こちらも、一度構築したらずっと同じ構成というわけではなく、より良い環境で提供するよう常にアップデートしています。

埼玉DCでは、利用者が安心して基幹システムや各種サーバー等のIT機器を預けられるよう、日々、エンジニアたちがIT技術を磨き、万全な体制を整えているのが特長です」。

TEstory_2304_img003s.png

- 高塚
「一般的なDCでは、マニュアル対応のオペレーターの常駐が大半です。そのため、機器のトラブル発生時には、利用者はオペレーターに具体的な指示を出す必要があります。また、オペレーターの対応権限の幅はDCによっても異なるので、トラブル発覚後すぐの対処は、限定的になることも少なくありません。

一方、ベル・データの埼玉DCでは、トラブル発生時の対応範囲を、あえて定義しないようにしています。なぜなら利用者には、具体的なトラブルの内容がわからなくても、とりあえず連絡してもらいたいからです。

埼玉DCへ連絡すると、技術に精通したエンジニアが、その場でフレキシブルに対応します。すべてのIT機器を把握しているわけではないですが、目の前で起こっている問題に対して、トラブルの内容を聞き取り、利用者と協力しつつ、試行錯誤しながら問題を切り分けて対応するのが特長です。私たちは技術者なので、その場で考えて実行できるスキルが大きな強みだと感じています。スピード感のある、柔軟で高度な対応は、利用者からも好評を博しています」。

詳細なマニュアルがないシステムは手探りで技術を習得

――新しいシステムが発表された時の技術習得の取り組みや姿勢ついて教えてください。

- 蓮沼
「新しいシステムが出た時は、詳細な取り扱いマニュアルが存在しないケースが大半です。その状況で構築や実装を行うには、海外のドキュメントを参考にしつつ、必要な情報を調べて、分からない箇所を自分で埋めていく必要があります。

特にこれまでに印象的だったのは、IBMiを実装するために必要な仮想基盤のVIOSが出た時です。VIOSは規模が大きい利用者の構築をする際に必要な技術ですが、バグも多く、調べて手に入れたマニュアル通りに取り組んでも、記載された通りの結果が得られない状況でした。その為、手探りで一つずつ確認、検証し、また、バグにも対応する必要がありました。これら一連の対応を終えた後、利用者へ提供できた時は、大変だった分、達成感も格別でした」。

- 高塚
「蓮沼さんからも話があったように、新しいシステムが発表された際には、技術習得のために、手探りで取り組むことが多くなります。この時、自分はトライアルアンドエラーを恐れないことが、重要だと思っています。忙しいと、どうしても効率を求めがちですが、新しいことに対して、本当の技術を身につけるには、トライアルアンドエラーが発生するし、時間もかかるものです。

それを厭(いと)わずに取り組める技術者が、最終的には、よいエンジニアになれるのではないでしょうか。そのため、怖がらずにまずは手をつけて、失敗しても良いという気持ちで取り組むことが、結果的には、よりよい技術を身につけ、よいサービスを利用者に提供できるのだと考えます」。

TEstory_2304_img004s.png

- 蓮沼
「自分がこれまで対応したケースでも、検証が終わり、ようやく利用者にお渡しするとなった時に、最新のパッチファイルが発表されたことがありました。そうなると、再び検証作業を行う必要があります。しかし、そういう時にも焦らずに、粘り強く対応する姿勢が大切です」。

- 高塚
「先ほど、蓮沼さんが仮想基盤のVIOSが出た時の話をしていましたが、当時、自分はメインマシンの制作を担当しました。これは、かなり根気が必要な作業でした。その時は、設計の意味を理解するところから始まり、一カ月ほど、朝から晩まで、メンバー数名とディスカッションと検証作業を重ねる大変な日々を過ごしたことを覚えています。不明点が出たら問い合わせたり、調べたりしながら取り組みました。あの時は時間もかかり、かなり苦労しました。しかし、あの経験をしたことで、自身の技術力が向上し、今の自分があると思っています」。

芸術の域に達するケーブリング

――埼玉DCを運営する上で気をつけている点はありますか?

TEstory_2304_img005s.png

- 蓮沼
「配線が整理されていないDCでは、メンテナンス時に回線が抜けて電源や通信が切れ、利用者の業務に支障が出るリスクがあります。そのため、安心なDC運用のため、整理された環境とケーブリング(配線処理)を大切にしています。自分が担当するラック配線のケーブリングとユニットの配置は、整理されていると評価されることが大半です」。

- 高塚
「10年ほど前、出先の関係施設で、とんでもなく綺麗に組まれた配線を見かけたことがあり、『これはいったい誰がやったんだろう』といたく感心しました。後になって、蓮沼さんが手掛けたものだと判明したんですよ。

入社後、蓮沼さんと一緒に仕事をすることが多く、これまで何度か、自分が配線を担当することもありました。その際には、蓮沼さんからのOKがなかなか出ず、何度もやり直したということがありました」。

- 蓮沼
「利用者に安心を提供するためには、ケーブリングを整理する意識は大切です。そのため、入社後しばらくは、合格ラインに達するまでOKを出さなかったことはありましたね」。

トライアルアンドエラーを恐れない姿勢で真の技術を探求する

――大切にしていることを教えてください。

TEstory_2304_img006s.png

- 蓮沼
「チーム全員が高い水準のスキルを有しているのが理想であり、大切なことだと考えます。例えば、トラブル発生時に利用者から連絡をいただいた際、チームの誰が対応しても、同じように高いレベルであれば、トラブルに迅速に対応できます。

それは、利用者にとってはもちろん、チームのためでもあるのです。スキルが属人化していると、自分の勤務でない日でも対応が発生することもあります。それを防ぐためにも、情報共有とチーム全体のスキルアップの取り組みが大切です。またそれは、エンジニアにとっても働きやすい職場となり、長く働ける環境作りにもつながります」。

- 高塚
「チームの皆が高い水準のスキルを持つためにも、一人ひとり、トライアルアンドエラーを恐れずに技術を探求する姿勢が大切だと考えています。成功ばかり求めると、失敗するのが怖くなりますが、新しい技術の習得には、トライアルアンドエラーはつきものです。

以前、利用者のシステム交換の際に、途中、順調にいかずに苦労することがありました。最終的には無事に終わりましたが、その際、利用者から『最後までチームで逃げずに対応してくれてありがとう』と言っていただきました。トライアルアンドエラーをしながらゴールを目指すのは、もちろん、大変なことではありますが、同時にとても達成感ややりがいを覚える瞬間でもあります」。

- 蓮沼
「自分が入社した時から、ベル・グループには、一人ひとりが獲得したスキルは、個人のものにせず、チーム内で発信して皆で共有する文化があります。すると、それに対して、また他の人が調べてさらに新しい情報を共有する好循環が生まれます。このように、お互いに情報提供し合いながら、みんなでスキルアップしています。

より専門的なスキルの場合、皆が同じレベルに達するのは簡単なことではありませんが、引き続き、チームとして全体のスキルアップに取り組んでいきたいと思います」。

TEstory_2304_img007s.png

近年、IT業界の発展速度は急激で、日々、技術は進化し、新しいシステムは次々に登場している。この急成長する業界で取り残されないため、ITエンジニアたちには日々の弛まぬ努力が求められる。このような状況の中、埼玉DCのエンジニアたちは、DC利用者に安心と新たな価値を提供すべく、チーム一体となり、技術向上に取り組んでいる。マニュアルの存在しないシステムには、自身の知見や経験を駆使しながら手探りで技術を習得し、選び抜いた技術とサービスを、利用者に最適な形での提供を目指す。

蓮沼克典

サービス・デリバリー 東日本サービス&サポート 部長

2001年入社。システム保守、構築、監視、ハウジングのサービス提供等を担当し、部長に就任。几帳面で真面目な性格。手掛けるラック配線のケーブリングは芸術の域との声も。現在はマネージャーという立場もあり、チームの全体を見渡して目を配るバランス派。「DC利用者が安心してIT機器を預け、使いやすいと感じてもらえるよう、チーム全員が高い水準のスキルを有しているのが大切だと考えます」

高塚一意

サービス・デリバリー 東日本サービス&サポート 課長

2007年入社。システム保守、構築、監視、ハウジングのサービス提供、クラウド基盤等の管理、運営を担当し、課長に就任。新しいシステム等、分からないことを目の前にした時に自身の技術と知見で状況を打破する行動派。「取り組まないと分からないこともあると思うので、まずは実際に取り組みながら課題を発見して解決するタイプです」

一覧へ